6月13日(金)、14日(土)、15日(日)の3日間限定で行われる札幌のヴィンテージ眼鏡のセレクトショプ〈Fre’quence〉のSHOP IN SHOPに先立ちまして代表である柳原さんにインタビューを行いました。
ヴィンテージ眼鏡の魅力や取り扱いについてなど、普段なかなか聞くことができない内容をお伺いさせていただきました。
どうぞご覧ください。
近藤 初めましてトゥモローランド渋谷 本店の近藤と申します。
早速ですが簡単なプロフィールをお伺いしてよろしいでしょうか。
柳原さん(以下敬称略)Fre’quence代表の柳原です。
近藤 約11年ですかぁ。長いですね。
柳原 2012年10月に退職し現在のお店をオープンしました。約1年と半年になります。
近藤 そうなんですね。実際勤めていたときから独立しようと考えられていたのですか?
柳原 そうですね。独立は考えていました。
近藤 それはヴィンテージを扱うお店としてですか?
柳原 当初はいわゆる既存のブランド、例えばOLIVER PEOPLESなど現行のブランドをセレクトしてやろうと考えていたんですが、5年ほど前から現行のブランドのデザインですとか、クオリティに疑問と言うか、正直あまり魅力を感じなくなってしまいまして、突き詰めていくとやぱりヴィンテージの眼鏡かなと。
しかもデッドストックのモノに興味が移って、自分自身その辺りから買い集めるようになりまして、これでやったら面白いんじゃないかなと、ちょっと安直な考えではあったんですけど。(一同笑い)
近藤 元々、勤めていた時からご自身でもヴィンテージの眼鏡をかけてらっしゃったんでしょうか?
柳原 そうですね。プライベートではちょこっとかけたりしてはいましたね。はい。
近藤 ヴィンテージ眼鏡についてなんですが、正直自分も眼鏡をかけてはいるものの、実はヴィンテージのモノを購入した試しがなく、現行との違いというのをしっかりと理解はしていないので...空気感ですとかなんとなくの良さみたいなのは分かるのですが、より具体的な「違い」、「良さ」を教えていただくことはできますでしょうか?
柳原 そうですね、いわゆる専門的な視点から申し上げると、まずは品質。クオリティですね。そして使われている材質の違い。あとはデザインが大きく違います。
その3つが現行の商品とは違うのですが、例えば品質に関してもですね、現行の眼鏡ですと大まかにオートメーションで大量に作ることが可能ですので、あまり人の手が加わらなくてもある程度機械がやってくれるのですが、昔の眼鏡は現在のような機械がなかったため、一本ずつ人の手で作っていたことがメインだったんです。
人の手で丁寧に作っていて時間をかけて作っている。当然コストもかかりますし、今のように低コストで高価格で販売し利益を出すということでは無くて、丁寧に作って販売していということが現行の商品と比べると、違ってきてますね。
近藤 なるほど。品質の話を伺うと洋服にも似たようなことが言えますよね。
柳原 そうですね。洋服も例えば今のツイードと昔のツイードではやっぱり生地感も違うと思いますし、本当にミクロな視点ですがウールなんかも羊の違い...突き詰めると羊に与える餌の違いですとか(一同笑)そこによって毛の太さや弾力が違うとかって言うのはありますよね。そういうとこだと思います。
近藤 同様に材質も変化してきているんですか?
柳原 はい。特にプラスチック。今もあると思うんですけどプラスチック素材に関しても昔のモノは石油系の油が結構多く含まれているんですよ。
近藤 油ですか。
柳原 可燃性の高い材質で今現在は使うことができないと思うんですけど、油分が多い分艶があるんですね。あと、乾燥しにくい。
人間の肌と同じで油分が多い分潤いがあるっていうんですかね。見た目もしっとりしていて、触ったときも比べると違いがありますね。
近藤 なるほど。石油系の油が多いって言うのは直接お話を聞かないと知り得ない情報ですよね。
柳原 その辺は前職で福井の鯖江で職人さんやいろんなメーカーさんから色々な話を聞いたっていうのは大きいと思います。
近藤 前の話にも繋がりますが、デザインもオートメーションではない分、凝っていたりするということでしょうか。
柳原 そうですね。
近藤 実際、生産された国、年代でデザインの特徴にも変化がでてくるということですか。
柳原 おっしゃるとおりですね。自分のお店でもメインで取り扱っているのですが、1940年代のフランスの眼鏡なんかは、あまり面取りがされていないんですね。角ばったディテールが特徴的です。
近藤 それはあえて、なんですか?
柳原 正確には分からないですが、デザインというよりもコスト的な話や技術的なことも大いに関係していると思います。
ただ、逆に角を残したまま研磨をすることは非常に難しく高度な技術が必要なんです。要は研磨が少しでもズレてしまうと角を削ってしまうことになるから。
当然角を残したまま磨かないとモノとして完成しないので技術的に非常にレベルが高かったのかなと。
あとは流行的な要素もあったと思います。エッジが効いて少し尖ったデザインが流行っていたのかなと。
近藤 その時代その時代のトレンドもありますよね。
柳原 ありますよね。ファッションもそうですし。
50年代になると少し角が取れてきて面がとられた柔らかく丸みのあるデザインのものが多くなってきて。60年代になると生地のボリュームが出てくる、ふっくらしてくるというか。。。
近藤 フレーム自体のボリュームがということですか。
柳原 そうですそうです。
ほとんど面がとられた丸みのある眼鏡が多くなります。
40年代、50年代、60年代とそれぞれエッジあるものからだんだん角が取れて丸みがでてきて、生地のボリュームがでてくるというのがフランスのヴィンテージの特徴です。
あとは金属の眼鏡。いわゆるメタルフレームなんかも今のものはほとんどメッキですけど、昔のものは金張りなんですね。
昔のアメリカ、イギリスなんかはK10やK12が多いのですが、うちでメインで扱っているHILTON CLASSICというブランドがあるんですが、そちらの70年代のメタルフレームはK14の金張りです。
近藤 そこまで違うと見た目から違いますよね。
メッキと金張りで比較しますと金張りの方は塗膜部分が圧倒的に厚く、メッキと比べると300倍くらいの違いになってきます。
次回は取り扱いの注意点、柳原さんが想う「良い眼鏡」についてお伺いいたします。