2014/06/10

Fre'quence 代表 special interview Vol.2



Vol.1はこちら


柳原  かなり薄い中での倍率なのでピンとこないかもしれませんが、そもそも金張りとは薄く伸ばした金を芯金に巻きつけて作るのが特徴的な作り方でして、金を巻きつけている分剥がれにくく、層も厚いので削れにくいという特徴があります。
丁寧に手入れをすれば何十年という単位で使用していただけます。
メッキですと間違いなく剥がれてきますので、それがないのが最大の特徴だと思います。
当時、眼鏡は高級な品物だったので長く使うことができるように金を用いたということもありますし、メッキの技術がなかったということも要因としてあげられます。


近藤  シンプルな話ですけど薄くするということは当然技術が必要になるということですよね。


柳原  単純にメッキの機械が昔はなかったので仕方なしというか、当時から手に入る金を使用したんだと思います。


近藤  結果、非常に長く使用できる良い品物になったということなんですね。


柳原  結果的にはそうですね。
金の値段も当時と今とでは違いますし、オイルショックの前と後ではまったく変わってきます。
オイルショック後ですと、コスト的に金を用いて金張りで製造することが難しくなったという時代背景もあります。
コスト的な側面、長く使用するための側面など多面的な要素があったと思います。
ざっくりですが大まかな違いをお話しするとこんな所だと思います。


近藤  ありがとうございます。ざっくりとおっしゃいましたがかなり興味深いお話ですね。
実際、洋服も同じでヴィンテージなど古いものの良さを伝えるとき「なぜ古いものが高いのか」と疑問を抱くお客さまも多いですし、柳原さんにお話しいただいたような内容が古き良きものの「魅力」のひとつでもあり、そういった内容をお客さまにお伝えしていきたいですね。


柳原  店頭でも先ほどお話ししたような内容を論理的にお客さまにお伝えしているのですが、皆さまご納得いただいて購入してくださる方がほとんどです。
ただ品物を販売するのではなく背景ですとか、お客さまが抱く「なぜ」と感じられる点を伝えることでヴィンテージの眼鏡の魅力をご理解いただくことができるかなと思います。
実際、お客さまには眼鏡を購入していただくことになるのですが、ヴィンテージの眼鏡が持つ歴史や背景も一緒に購入していただくと言うことが最大の魅力だと考えています。


近藤  素敵ですよね。ロマンを感じますね。。。




近藤  ヴィンテージ眼鏡の魅力はすごく伝わったのですが、製造されてからかなりの時間が経過している分取り扱いの注意点などもあるかと思うのですがいかがでしょうか。


柳原   はい。まずはプラスチックのフレーム全般に言えることですが、極度の乾燥は避けてほしいです。
人の肌もそうですが乾燥すると中の水分が奪われて、カサカサの状態になる訳ですよね。
普通の室内であれば問題ないのですがある程度湿度のある場所で保管していただき、極端に乾燥した環境で放置してしまうなどでなければ大丈夫です。
眼鏡は使用することで人の油などで薄くコーティングされるのでどんどんかけていただくことをオススメしています。
当然高温の場所もそうですし極度の乾燥した環境でなければ問題はありません。
あとは強いアルコール性の薬品類、整髪料は極力付着しないように使用していただくようお話ししています。
特に夏場は汗もかきますので、就寝前に水またはぬるま湯でしっかりと洗い流すこともオススメしています。
良く聞かれるのですが、眼鏡の洗浄機を特別使用する必要はないです。


近藤  そうなんですか。今だと街の眼鏡屋などで使用できる洗浄機ですよね。


柳原  はい、あの洗浄機を使用しすぎると眼鏡の中の油分まで抜けてしまうので、きれいな水で洗い流す程度で大丈夫です。あとは柔らかい布などでしっかり水気を拭き取っていただければ問題ありません。油汚れがヒドい場合は中性の洗剤を少量使ってください。
繊細な品物ですので過度な力は加えないように注意して欲しいです。
私のお店では仕入れることはありませんが、古い眼鏡は金属の部分が腐食して割れていることもありますので、特に眼鏡のかけ外しをする際は必ず両手で行っていただきたいです。
なるべく負荷がかからないように丁寧に扱うと。



近藤  それはヴィンテージにかかわらず既成の眼鏡やサングラスも同様ですよね。


柳原  はい。なるべく使用していただきたいのですが、毎日着用していると劣化のスピードも増してしまいます。
靴と同じで、ある程度ローテーションを決めて使用していただけるとより長持ちします。23日程度使用したら休ませるなどですね。


近藤  おっしゃるとおり洋服や靴と同じですね。
実際、トゥモローランド 渋谷本店は本当に多くの方が来店してくださりますし取り扱いの注意点はしっかりお伝えし、お客さまにより長く身に付けていただきたいと思います。


柳原  例えば金具のところが折れてしまったなどある程度修理で対応することもできます。
鯖江に部品のメーカーがあるのですが実際に私のお店にも持ち込みいただく方もいらっしゃいます。
皆さま慎重にお使いいただいているのですが、それでも壊れてしまうケースがない訳ではないですし、やはりワンオフなモノですので修理しながら長くお使いいただくことがベストだと思います


近藤  そういったお話を前もって聞くことができると安心して購入することができますよね。


柳原  仕入の段階からコンディションは一番気を使っているポイントですし、これは長く使用できないであろうと感じる商品は買い付けないですね。あくまでクオリティを重視して展開しています。
基本的にはいくらデザインが格好良くても品質がダメだと展開しないです。
もちろんここも洋服と同じで、品質は決して高くはないけどデザインがいい場合などのシャレをご理解いただける方には提案をさせていただく場合もあります。
購入するなら良い品質の品物が欲しいと思われる方が大多数だと思いますし品質がいい品物を一番にお勧めしております。


近藤  そうですよね。ありがとうございます。
最後になりますが柳原さんから見たヴィンテージ眼鏡とは、本物とはどういったモノでしょうか。


柳原  まず、見ていただきたいのは細部の拘りや仕上げがすごく繊細ですし、すべて手作業で製造されていた時代の品物ですので機械で作られた既成の商品にはない程よい荒さや個体差、プロダクトとしてクラフトマンシップを感じられるところを実際に手に取って感じていただければ幸いです。
以前、鯖江の職人さんもおっしゃっていたのですが、良い眼鏡とはたくさんの人の手がかけられている眼鏡で丁寧に丁寧に、大事に大事に時間をかけて作られた眼鏡のことを指すと自分も思います。
妥協なく手間がかけられているモノが本物であり、それを具現化しているのがセレクトしているヴィンテージの眼鏡なのかなと思っております。



近藤  今回はありがとうございました。6月13日(金)、14日(土)、15日(日)の3日間どうぞよろしくお願いいたします。



渋谷本店 近藤




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